二人が寝静まった後、電気もつけない部屋で一人うつ向いていると、ロイドが横にやってきて


「仕事に復帰してみてはどうかな?きっと環境が変わると楽になるんじゃないかな?白衣の天使の復活に喜ばない人はいないよ。」

自分以上に悩んでいたのはロイドだと気がついたカトレア

「本当にごめんなさい。」

と、ロイドの優しさに甘えることにしたのである。

眉間にシワを寄せる事が多くなった私を見て、昔の仲間達にはどう映るのか?

3年以上ぶりの仕事でちゃんと勤まるのだろうか?

など、不安ばかりよぎるが、覚悟を決めカトレアは病院の門をくぐった。

だがカトレアの不安は仲間達の表情がすぐに消してくれたのだ。


その日の仕事は初日ということもあり、一つ一つ思い出しながら丁寧にこなし、久しぶりに仲間達と語らい、大切な家族の待つ自宅に帰った。


私には帰る場所がある。これほど幸せなことはないのだと、家のドアノブをつかみそう思った。

玄関に入ると、奥の部屋で、マリアとロイドが積み木で遊んでいる。

ドアの閉まる音で振り返った、その瞬間のマリアの笑顔がカトレアの頭に映像として残った。

あなたのママで良かった。

と、カトレアの元に走ってきたマリアを力いっぱい抱きしめ、心からそう思った。


「ごめんね。」

カトレアの目には悲しさやうれしさ、そんないろんなものが涙となって流れたのである。

その日以来、家庭でも職場でも昔のように笑顔が戻ったカトレアは、もううつ向く事もなくなっていった。