警察官であるロイドの休日には、朝から温かい紅茶を入れ、庭には真っ白い洗濯物が風に揺れている。

そしてその周りを幼いマリアが走り回り、その光景を愛する人と眺めている。

カトレアが描いていた夢の風景がそこにあった。

確かに初めての育児で四苦八苦する事はあったが

毎日が新鮮で楽しい日々が続いていた。

マリアが泣くと、ロイドがすぐに駆けつけあやしてくれる。

周りから見れば協力的な良い旦那様なのだが、その行動がカトレアを追い込んでいったのだ。

カトレアだって我が子が泣いたら真っ先に抱いてあげたいのだが、やはり一瞬ためらってしまう。

それに気付いたロイドは知らないふりをしてマリアを抱くようになっていった。

それでもなんとか時は過ぎていき、マリアも3歳になった。



3歳の誕生日。3人で公園に遊びに行った時の事。マリアがすべり台の階段から落ちて怪我をした。

そんな時でもカトレアはためらってしまい、すかさずロイドがマリアを抱えた。

帰りの車の中で、ロイドと少し膝をすりむいたマリアはいつもと変わらない様子だったが、カトレアだけはずっとうつ向き、一言も話そうとはしなかった。その日からである

カトレアがノイローゼ気味になったのは・・・


日中マリアの寝ている横で

「ごめんなさい。こんなママで」

と、毎日のように謝っていると、マリアが起きカトレアを見て泣き出す。

子供の寝起きなんてそんなものなのだが、そんな些細なことでもカトレアは追い込まれていった。

そして仕事を終え、帰ってきたロイドにマリアが走ってしがみつき、眠るまで離れない。

そんな日が続き、カトレアの顔から笑顔が消えたのだった・・・