翌朝、カトレアはいつものように二人を送り出た後、椅子に腰掛け珍しく念入りに化粧をしている。

あきらかに近所への買い物ではない服装。表情は少し堅めであった。

いくつか電車を乗り継ぎ、辿りついたのは懐かしいにおいのする場所。

やはりカトレアは確かめずにはいられなかったのである。

そう、20年前の秘密を・・・。

「もう20年たつのね。二度とこの門をくぐることはないと思っていたのに・・・。」

少し古びた感じはするが、昔とあまりかわらない風景に、カトレアは胸をなでおろした。