「どうして・・・」

うつ向いているカトレアの耳に、か細い声が聞こえた。

カトレアが顔をあげると、そこには銃を構えて小刻みに震えているニックが立っていたのである。

「あんなに愛してるって言ってくれたじゃないか!君に頼まれた事、何だってしてあげたよね?・・・それなのに・・・もうボクは必要ないの?」

すぐに状況を把握できなかったカトレアは、ただ呆然とニックを見つめているしかできなかったのであった。

そしてニックは手に持った銃をゆっくりと自分のコメカミに当てた。

その姿を見たカトレアは、ようやく状況を理解することができたのだ。

そうマリアを撃ったのはカトレアではなく、ニックだったのである。

カトレアがニックを止めようと、立ち上がった瞬間、扉が開き、ニックとカトレアの間に割り込むかの様に、人が飛び出してきたのだ。

その人物はトッド。

まだ遠く離れていなかったトッドは、銃声が聞こえ引き返してきたのであった。

突然の出来事に驚いたニックは、引き金を引くのを忘れ、呆然としている。

その姿を見たトッドは、飛び出した勢いのまま、ニックを取り抑えた。