「着きましたよ。」

ミリアムの日記に没頭していたカトレアは、トッドの言葉に我に返った。

辺りを見渡すと見慣れた景色が広がっている。

カトレアは日記を閉じトッドに礼を言って車を出た。

ドアを閉めようとしたその時、カトレアの額に何かが当たったのである。

その瞬間、ドドドっと、少しづつこっちの方に近づいてくる音がした。

危機を感じたカトレアはとっさに車に乗り込んだのである。

再び車に乗ってきたカトレアに何が起きたのか理解できなかったトッドであったが、その謎はすぐに解決することとなった。

車内に響きわたるくらい激しく叩く音。

フロントガラスが割れるのではないかと不安になるくらい車が揺れた。

そう音の正体は『氷《ひょう》』だったのである。