少し後ろめたい気持ちを抑えながら、ついにカトレアは中へ入ったのであった。

懐かしい感じがするが、妙に片付いている机の上を見ると、やはり別の部屋なのだと痛感してしまう。

机の上には、ニックの読みかけの本が置いてあるくらいで、特に目立った物は置いていない。

それを見ただけでニックの性格が窺える。

そしてカトレアはその机の引き出しに手を伸ばした。

元々、この引き出しには、ロイドの仕事の書類が詰め込まれていて、引き出そうにも中で詰まって簡単に開かなくなっていた。

つい昔の感覚で、力強く引き出しを引いてしまったカトレアは、中に入っていたペンやメモ帳などが床に飛び出してしまったのである。