「言っていただけたらこちらから伺ったのに・・・」

「お知り合いですか?」

女性職員は首をかしげながらトッドに尋ねる

「こちらはロイド先輩の奥さんです。」

『ロイド』と言う名前に驚いたのか、その職員は

「ロイド刑事の!?」

と、少し大きめの声で聞き返す。

すると、その声にさっきまで静まりかえっていたのが、少しザワザワとしはじめた。

殉職したロイドの妻の登場に、女性職員は何も言わず・・・と言うより、何も言えなかったのであろう、ただただ深く頭を下げてその場を去って行った。

そうである。カトレアが訪れたのは警察署であった。

「今日はわざわざ来ていただいてすみません。まぁ、立ち話もなんですから・・・」

そう言い、カトレアはトッドに引っ張られるように奥の部屋へと招かれた。