ロイドの仕事柄、普段からお互い時間が合う事は少なかった。

そのせいか、ロイドが居ないこの家に違和感を感じれないカトレアは、ロイドが死んだ事にまだ実感が湧いていなかったのであろう。

・・・つい見つめてしまう扉。

その扉が突然開いて

「ただいま!」

と、疲れた表情で、帰って来るロイドの姿を何度となく想像して、何度となくこの暗闇の部屋で泣いているカトレアがそこにはいたのであった。


あまりにも静かになってしまったこの家だったが、この沈黙を破る様な『恐怖』が音をたててやってきたのはロイドが亡くなった次の日であった。