カトレアが座り込み、泣いていると、静かに近づき、そっとハンカチを差し出した人物がいた。マリアである。

「・・・ママ・・・大丈夫?」

マリアも父を失い、泣いたのであろう、差し出したハンカチは少し湿っていた。

カトレアはそれを受け取り、涙を拭いて立ち上がった。

「やっぱりダメね。なるべく泣かないようにしないと・・・って思ってたのだけれど・・・。」

ハンカチをマリアに返し、普段の表情に戻そうとするカトレア。

マリアと話ながらでも、ついニックを目で探してしまう。

するとマリアと少し離れた所に、ニックの姿があり、カトレアと目が合ってから近づいてきた。

ニックなりに気をつかったのが伝わってくる。