小さな隙間からマリアが顔を出し、さらにそのわずかな隙間からベットが見える。

そしてその上に黒い何かが置いてあったように見えた。

それが何なのか分からなかったが、カトレアは

「ちょっと目が覚めちゃって・・・」

と、たった一言発して自分の部屋に戻ったのであった。

結局その後も眠れなかったカトレアは早めに起き、少し濃いコーヒーを入れて飲んでいると、マリアもキッチンへやってきた。

夜中にベットの上にあった物であろう少し大きめの黒いカバンを持って・・・。


「おはよう」

カトレアの存在に気付いてなかったのか、若干その声に驚いたように感じられた。が、特に慌てる様子もなく、足元にそのカバンを置き、コップを取りカトレアと同じテーブルに腰を下ろした。