「秋風大学なんや。でさ、なんなんあの人。」

「はっ?」

「キム、なんなんっちなんなん。意味分からんし。」

「「ハハハッ。」」

「えーっと、やけん。何しに来たん。」

「はっ?教育実習、勉強しに来たにきまっちょんやろうが。」

「何のために?」

「キム、教師になるためにきまっちょんやん。」

「あー、そっか。それっち、選ばれるん?」

「何が?」

「この、教育実習っち。」

「いや、自分で希望してするんやったと思う。」

「青義中学に来たいっち?」

「うん。」

「へぇ~。じゃぁ、先生になりたいん?」

「そりゃそうやわ。大学でも理学部にはいっちょんけん。」

「じゃぁ、先生と同じ理科の先生になりたいんや。変わった人もおるもんやなぁ~。理科の先生になりたいなんか。」

「はいっ。時間やけん席に着いてー。」

「はーい。」


朝、菊池先生を呼んで色んな話を聞いた。


あたしは“秋風大学”っていう大学があるのは良く知ってる。


だけど、頭がいいか悪いかは分からない。


だけど、あたしの周りにいた友達は、みんな「秋風大学の人。」そう聞くと、「えぇー!」みたいな反応だった。


私だけ「へぇー。」みたいな。


「じゃぁ、連絡は・・・戸川先生。」


今日は菊池先生が連絡をするんじゃなくて、戸川先生がするんだ。


あの高くて小さい声をもう1度聞きたいとは思ってたから、何となく嬉しかった。


「今日の連絡は・・・。」


先生が喋り出すと、和真が「フゥー」と茶化し始める。


あたしが先生の顔を見ると、いつもの照れた顔をしていた。


あたしはまた、また、その顔にキュンッとなった。


「うるせぇ、和真。」


菊池先生も笑いながら注意する。


戸川先生は静かになると、気を取り直してもう1度話始めた。


「今日の連絡は。」


連絡なんて聞いてない。


先生の声だけがあたしの耳を通っていた。


先生の声が聞こえると、心臓がドキドキ、高鳴っていく。


「終わります。」


戸川先生の一言で委員長が挨拶をする。