「あと、1年あるけん」確かに1年って聞くと長く感じる人も多いかもしれない。


だけど、あたし達から見れば、1年はあっという間。


1年のときだって、こんなに早く時間が進むなんて思ってなかったから。


だから、先生の「あと、1年あるけん」その言葉は凄く重荷になった。


「あと1年しかないんだよ!」


あたしが先生に向かってそう言うと。


「ハハッ。」


先生は小さく笑った。


先生にはわかんないよ、あたしのこんな気持ち。


そうとう焦ってる、気持ちなんてわかんないよ。


この世界に高校なんてなかったらいいのに・・・。


なかったら、楽なのに・・・。


「その前に、清風ノート終わってないし。」

「何ページたまっちょんの?」

「軽く20ページ以上はたまっちょんと思う。ヤバいなぁ。」

「マジで?ヤバいやん。」

「うん。どーしよー・・・。」


あたしが言ってる中学には清風ノートというノートがある。


A4のノートに毎日自主学習をするのが決まり。


あたしはそのノートが嫌いでサボってばっかり。


多分、好きな人なんていないと思う。


1年のころもサボッてばっかでノートを埋めるのに必死だった。


あたしが悩んで座り込むと・・・。


「1週間で終わらせたいなら1日3ページするば終わるけん、頑張って。」


また隣から声が聞こえてくる。


「そうやん!1日3ページすれば1週間で終わるやん!」

「ん?」


やっぱり、理解できないあたし。


でも、「頑張って」って先生に言われたからには頑張らないわけにはいかない!


今日から溜まった分埋め尽くしてやる!!


↑本当に自分って単純だなって思った。


まぁ、恋してる人だったら誰でもそうだと思う。


好きな人に「頑張って」って言われて頑張らない人はいないハズ。


「何話よんのー。」


来た来た、KY娘。


あたしも麗香も嫌いな女子。


本田奈津。


あたし達の話に割り込んでくるなり、先生にベタベタ触りやがって。