そこで見た彼女の姿は、にこにこやかな笑顔だった。

ただ、笑顔の合間に見える表情にはほんの少し寂しさを感じた。

しばらくして一人で歩く彼女の姿を見つけた俺は彼女に声をかけた。

それをきっかけに、たまに姿を見るだけだった彼女と話をするようになった。

たまにしか顔を合わせることは無いがその度に、色々な話をした。彼女があの日泣いていた理由の話、世間話、そんな日々が数ヶ月続いたころに俺と彼女の中である共通する一つの思いが大きくなっていった。

いつの間にか、彼女の姿を探す俺、俺の姿を探している彼女

それが、恋愛感情だと分かっていたがお互いに踏み切れない理由があった。


そう、俺と彼女には家庭があったのだ。