そうだったの…?
本当は嬉しくなかったの…?
私の事…好きじゃなかったの…?――



「…いや!!」


思い出すだけで胸が苦しくなる。
あの時の事が、私のトラウマになっているらしい。


「光…」


そっと頭を撫でてくれるお兄ちゃん。
いつもいつも、お兄ちゃんに助けられてばかりの私。


「お前が悪いんじゃない。悪いのはアイツなんだから。
光が気に病む事じゃない。」

「でも…」

「…なんせ、お前はオレの妹だしな!ははは!」

「…もう。ふふ!」


お兄ちゃんといると、自然と笑いが零れる。
だから私は、お兄ちゃんの事が大好きだった。


「でもなー、あん時殴りに行かせてくれなかったのは残念だったよ。」

「暴力はいけません。
でも、あの時のお兄ちゃんったら、すんごい血走った目してた(笑)」

「しゃあねぇだろ。オレの大切な妹が傷ついて、その原因が彼氏だぞ。
殴りに行くに決まってる。」

「なにそれ!」


でも、なんだかんだ言って、すごく嬉しかった。今も嬉しい。
私を大切って言ってくれる人がいるだけで……