結局、彼の探していた大学の赤本はなく、今度はその隣でお菓子を売っていた女の子が彼に声をかけた。
「せんぱぁーい! お菓子買って下さいよー!」
むぅ、モテモテですね。
「お腹空いたなぁ…」
午前に部活をやって、そのまま文化祭に赴いた私のお腹は、何かを食べたいと文句を言っていた。
「じゃあ、このレモンのやつお願い」
「毎度ありがとーございまーす」
「はい、あげる」
「え?」
お菓子を眺めていた私の隣で、さっとパウンドケーキを買って、私に渡してくれる彼。
「いいの?」
「お腹空いてんでしょ?」
「うん! ありがと!」
彼からケーキを受け取る。
顔がにやける。
なにそれ、紳士じゃん。
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