彼に導かれるまま、校舎を散策する。

彼の隣は、やっぱり居心地がいい。

彼の隣にいるときだけ、とろりと空気が暖かくなる。

そんな感じがする。



「先輩、赤本買って下さいよー」

中古の赤本を売っている所に差し掛かると、彼の後輩らしき女の子が彼に声をかけた。

「いくら?」

彼が言うと、ショートカットのその女の子は、笑顔で答える。

「200円です」

「おー、北大ある?」

そんな会話を横で聞く。

市内随一の進学校だけあって、難関大学ばかりが長机の上に並んでいる。

彼が今探している赤本の大学だって、私では到底手が届かない。

でも、ここにいる女の子達は、彼の隣に立ててしまう。



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