《永迷の森入り口》

書かれている崩れかかった立て札を
ルナとアベルは見据える

森の先は真っ暗で何も見えない



「いいか、ここからは
絶対俺から離れるな。」


答えの代わりに首を立てに振る

「行くぞ」

その声とともに
足を進める二人

木の上で静に身を潜める
人影を気づきもせずに・・・。


二人は進んでいくうちに
何度も何度も通った道を進む

何度も、何度も入り口に戻る


通る道は同じなのに体力は減るばかり
アベルは鍛えているものの
ルナは滅多に外出はしないため
息が上がるばかり


「ルナ・・・無理すんな、休憩しようか?」


「・・・ごめん、アベル。」


気にすんなと頭をなでる
こんな時もアベルは優しい


そうして、大きめの石に腰掛ける

膝を抱え座り込むルナ
顔を俯かせ
暗い表情を浮かべる

その横に木に背をもたれて
腕を両手に組み、ルナを見るアベル




リジェンはどこにいるのだろう、

サンと逢えるのだろうか、


アベルの視線すらも
ルナは気づかない


そのとき

目の端に何かが入る


「えっ・・・」

そこには、見間違えるはずが無い姿
それはすぐに消えてしまって
確信は無いが、見間違えるはずが無い


「・・サ、サン・・・?」

半信半疑でアベルを見上げる

アベルも少し戸惑っているが

「サンがいたのか?・・・どこにいるんだ?」

アベルには見えていない
ルナしか・・・


一人ではダメだと分かっていても

腰を上げてしまった。



「アベル・・・



ごめんね?」

「ま、待てっ、ルナ!!!」


そういうルナの後姿を追いかけようとした瞬間
体の力が抜けるように
倒れてしまい
すぐに、意識も遠のいた