「いや、何も無ければそれでいいんだ。」


変なことを聞いてすまなかった。

そういうと部屋から
出て行ってしまった。


なんとも歯切れの悪い
納得のいかないまま
部屋へ戻った。


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戻った後もなぜか寝付けず
小さなバルコニーのふちに肘をつき
月を見ていた。


その瞬間何者かに口を塞がれた。

正確に言えば
口を塞がれ、視界が上を向いたと言った方が正しい。
つまりは、誰かから押し倒されたということ。
一瞬の出来事で何がなんだか理解不能。


「・だ、だれ・・・・?」


振り絞って出した声はかすかに震える。




「国王はどこだっ?」



全身黒い衣服に覆われ
顔にはマスクをしていた。


「は、はなしっ・・・」


「じっとしてろ、さもなくば殺す。」


男はそういってナイフを取り出す。
目の前に突きつけられ恐怖で体が震える。


「怖いのか?だったらおとなしく国王の所まで案内しろ。
そのあとにゆっくりお互い楽しもうぜえ」


怯えるルナの首筋に厭らしくも下を這わせる
子供でも分かるその恐怖に
成す術が無かった。