「どちらのご子息かは存じ上げませんが
名も名乗らないなんて・・・恥を知りなさい。」
「強気な感じもいいんですがあ、わたしは
従順な女性が好みでございましてえ・・・」
困ったそぶりを見せる男
話し方はあまり困ったように聞こえない。
「そう、あなたの好みではなくて安心しました。」
皮肉を込めて言い放った。
「まあ、そう、おっしゃらず・・・
わたくしと、ご一緒に来てはくださいませんかあ?」
「生憎ご遠慮いただきます。それに連れて行きたいのなら無理やり連れて行けば
よいのでは?なぜ、わざわざ了解を取る必要があるのでしょうか?」
「あなたに、傷が付けばわたくしの命がありませんからねえ。」
命は惜しいですと笑いながらルナに話す。
「一体、どういう・・・?」
「・・・・お話ししたいのは山々なんですがあ、
時間切れみたいですう。」
最後の最後まで小ばかにしたような
話し振り。
その後ろに窓でみた
あの男が立っていた。
「離れろ。」
「いいところだったのに、邪魔が入りましたね?
でも、わたくし怪我はしたくないもので、ではルナ様またお会いできるその時まで。」
そういうと、男は一瞬で姿を消した。
残る疑問は目の前の男
それは、赤い髪の少年だった。
赤い髪が心象的だったが、
近くで見ると顔も綺麗な顔立ちだった。
男前というより、透明という表現の方が
しっくりくる。
それが、二人の最初の出会い。
