「やっぱり来るんじゃなかった・・・」

見慣れた煌びやかな雰囲気
ルナはいつものバルコニーへ足を運んだ。
幸い、人はいない。



そうつぶやくルナの背後には見知らぬ男
だが、だれ一人、気づくものはいない。

もちろん、ルナさえも。


「ルナ・マルベリー」


男は、背後から声をかけた

いきなりのことだったので、
ルナは肩を上げた。


「・・・あなたは?」


「やはり、噂通り。お美しいですねえ。」

男はルナの言葉を無視して、話し出した。


「いやあ、こんなにお美しいのでしたら
さぞ、大切にされてきたのでしょうねえ。」


ルナの家柄目的で話しかけてくる輩は少なくないうえに
美しい美貌に引かれ声をかける男性が半数だ。
だが、この男はなにか違った。

何か違う雰囲気の男に恐怖を隠しながらも強気に続けた。

「何が、目的でしょうか?」

「ほお~、綺麗な上に、気がお強い。
そんな女性も嫌いではありません」

そう言い放つと、妖しく微笑んだ。