少し二人で話させてほしい、という啓太とマリさんの頼みを聞き入れ、俺達は病室を出た。
そして、あの店に戻った。

俺はまだ気分が晴れなかった。
無事だったとはいえ、啓太は自殺しようとしたんだ。
俺はこれから、啓太とどう接していけばいいのか分からなかった。

「お前、困ってるだろ」
「え?」
「啓太とどう接していこう、って」

定は寿々歌が出したコーヒーを飲みながら、俺の悩みを見破った。
“図星だろ?”とでも言うようににっと笑って、定はこう言った。

「大丈夫だよ。あいつにはマリさんがいるんだし。結局最初っから、あいつはマリさんと結ばれる運命だったんだよ」

今はただ、啓太の幸せを祈るしかなかった。