双子……?
そんな話は聞いたことも無い。
啓太の家にも何度も行ったが、見たこともない。
「あなた達は知らないと思います。彼は……宮崎で死んだから」
マリさんの目には涙が浮かんでいた。
俺達は俯いたまま、口を開かなかった。
「毎日のように一緒に遊んでました。祐太が亡くなった日もサッカーをしてました」
マリさんは一言一言を少しずつ吐き出していく。
彼女にとっても辛い思い出なのだろう。
「啓太が思い切り蹴ったボールは道路に転がっていきました。祐太はそれを取りに道路へ飛び出しました」
彼女はそれ以上言わなかった。
唇を噛み締めて涙を流していた。


