「啓太って、昔のことを話したりしてましたか?」

ベッドの隣の椅子に腰掛けたマリさんは、俺達にそう尋ねた。
俺と定は顔を見合わせた。

「あまり話してなかった気がする……」
「やっぱり……」

彼女は目を伏せた。

「啓太は、自分の記憶を自分で消し去ったんだと思います」
「それって……」

一同の視線が、寿々歌に向く。
まるで寿々歌と同じだ。