『啓太……いたよ』 定の声だった。 捜していた人物が見つかったというのにも拘らず、定の声は沈んでいた。 俺の頭に不安がかすめる。 『今、港にいる。来てくれ』 定はそれだけ言うと電話を切った。 俺は寿々歌とアイコンタクトをとる。 彼女は頷いた。 俺達は走って港へ向かった。