“親友”。
もしも俺達が親友じゃなければ、お互いにこんなに苦しむことは無かったのかもしれない。
親友だからこそ、こんなに苦しくて辛くて後ろめたい気持ちになって。
でも、少なくとも俺は今、苦しみの中に幸せを手にしているんだ。
だったら、その幸せの分、あいつの苦しみを受け止めてやらなくちゃいけないんじゃないか?
俺達が、“親友”ならば。
『大悟、行くよ』
「行くって宮崎に?」
『決まってんでしょ!』
電話の向こうで七海がまた大きな声を上げる。
全く時間帯を考えているのか。
『明後日。寿々歌も連れてくから、伝えといて。分かった?』
日程も全て七海が指示する。
言うだけ言ったと思ったら、七海は電話を切った。


