チケットを買って、彼女は俺に「はいっ」と渡した。 嬉しそうにはしゃぐ彼女の笑顔は、俺の気持ちを軽くしてくれる。 でも、その笑顔にさえもどこか影があるような気がした。 とはいえ、ここは夢の国。 ここに来て暗い顔をしているなんて、逆に浮いてしまう。 楽しもう。 ここにいる間だけでも、二人で心から笑いたい。 俺は一度離した寿々歌の手をもう一度握った。 一瞬驚いたような顔を見せた彼女だったが、小さく微笑んで握り返してくれた。 俺達はゲートをくぐった。