思考は停止した。 しばらくして再び動き出した脳は、俺には残酷すぎる答えを導き出していた。 一番避けたかった、その現実を。 「ここ、お前の部屋か?」 やっと絞り出した声には感情が無く、抑揚のない声だった。 啓太は何も言わずに、首を縦に振った。 俺はこんな答えを聞くためにここに来たのか――? 啓太は沈黙の広がる部屋の中で言った。 「俺達、同棲してる。――先月、婚約した」 足から力が抜けていった。 情けなくも俺は、その場に崩れ落ちた。