俺は勢いよく席を立った。

「悪い、定! コーヒー代は定の奢りってことで!」
「えぇーっ」

もう一度、あいつに会って確かめよう。
本当はあいつの記憶の中に俺が残っていると、そう信じよう。

「頑張れよ、大悟」

店を出る直前に、背後でそんな声が聞こえた気がした。

凛と話す。啓太とも。
真相を確かめなきゃいけない。

一秒でも早く。
俺は必死に昨日の店へと走った。