そして、今日もキミを想う。【完】


定は頷いた。

「問題はそこだ。間違いなく俺達を轢いたのはパトカーだった。警察官だった。でも、俺達が後で読んだ新聞には、“行方不明”って書いてあったんだよ」

嫌な予感が頭を過ぎった。
考えられるのは一つしかない。

「隠蔽……」
「そうだ。この事故の真犯人は隠蔽されたんだ」

定の表情は、辛そうな悔しそうな、そんな表情だった。

「寿々歌はこれを知ってショックを受けた。寿々歌は事故で頭を打って記憶を失くしたわけじゃない。ショックと怒りと恐怖が重なって、寿々歌は苦しみのどん底に落とされた。その苦しみから解放されるために、あいつは自ら記憶を閉じ込めた」