食事を済ませた俺は何も言わず、正しく言えば何も言えずに店を出てきてしまった。 俺の中であいつは寿々歌だったとしても、この世界に今、俺の知っている寿々歌はいないのだ。 こんな現実、あまりにも辛すぎた。 もしもあの時、俺が告白していれば、寿々歌は記憶を失わずに済んだはずだ。 宮崎なんて遠く離れた地に来る必要も無かった。 たとえ、同じように事故に遭っていたとしても俺が身代わりになれたはずだ。 自己嫌悪に陥る。 無性に悔しくなる。 俺は人目も気にせず街中で泣きながら歩いた。