【完】しゃっくり

「な…な……っ」

「――――しゃっくり、止まったろ?」


 …まさか、そのためだけに?

 いやさすがに、いくら先輩でもそんな事は。


「素直に言えば?俺が好きだって」

「言いませんっ!」

「残念。言ったら、俺が」


 ―――再び私に口付ける、先輩。


「いつでも止めてやるよ。お前のしゃっくり」

「そ…それって」

「…本気で。ずっと好きだった」


 そういって私の顎を軽く持ち上げる。

 今年…4月から、ずっと彼女を作らなかった先輩。

 新入生が入学してから。

 ……私が、入学してから?


「言ってみ?」


「――――……好きです」


 私がそういうと、先輩はまたもや、私に――

 次は、リップ音が響くような小さなキスをした。


 この部屋にはほかに誰もいないのに、先輩はわざと私の耳元で囁いた。



 “…ヨクデキマシタ。”


-end-