―――白だ。



目を開けてまず、彼女は単純にその一文字を思った。


どこまでも続く真っ白な世界。



そこに異物のような、色のついた自分がぽっかりと浮かんでいる。



ここ、どこ?



搾り出そうとした疑問が声にならない。気づけば身体も指一本さえ動かせなかった。


まるでこの世界自体に『動くな』と抑えつけられているよう。


しかし、己の無力さに歯痒くなることもならず彼女はただ呆然としていた。




「おやおや、まだ頭がついてきていないのですね」



え?


脳裏を揺さぶる甘い声。




その人物は溶けるように、空間から滲み出るように、彼女のすぐ目の前へ姿を表した。