「ほんと、鬱だわ…」 「何が?」 そう聞いてくる彼女はアタシの唯一と言っても過言じゃない独り身友達。 「別にぃ」 自分から‘結婚の事’を思い出すなんてどうかしてる。 アリエナイ。 「どーせ、ふてくされてるんでしょ?」 カシスオレンジを一口飲んでからアタシの顔を見てさも分かったかのようなセリフを吐く目の前の女、真山杏子(まやまきょうこ) その目は相変わらず鋭い。