「! 美味い……」

「え、ホント?」

 アザムも食べてみる。

「……美味しい」

「どれ」

 レイも興味を持ち、口に運んだその味に目を丸くした。そんな皆の反応に笑みを浮かべたベリルの笑顔がキレイで、アザムはドキリとした。

『素晴らしき傭兵』とまで呼ばれる彼の微笑みは、まるで女神のようだと思う。

 全てを許し、その身に様々な傷を負いながら尚も笑う事が出来るベリルは凄い。

 素直にそう感じ、食器を片付けていく彼の姿をぼんやりと視界に捉えた。

 それから、レイはリビングで明日の仕事の準備をし、ベリルはそれを眺めながらブランデーを傾ける。

 アザムは自分の部屋で読書を始め、少年はシャワーを終えたあと階段を駆け上った。