「!」

 本棚にしまわれている本に目が留まる。

「医者になるの?」

 問いかけられて少し声を詰まらせた。

「まだ決めてないよ。医師免許は取るつもり」

「あそ」

 自分から訊いておいて簡素な反応を返し、部屋の中を探るようにあちこち開けていく少年を少しハラハラして見ていた。

「!」

 デスクの引き出しに手をかけた処で、腰掛けていたベッドから思わず立ち上がる。

「!」

 少年は、右側の引き出しにあった物に驚きアザムに目を向けた。

「なんだ、兄ちゃんもベリルに憧れてんじゃん」

 ニヤついた口元に苦笑いを返す。

 引き出しに隠すように入れられていたのは、1丁の拳銃(ハンドガン)とミリタリー雑誌だった。