[……っ]

 思わず合わせた視線に絡め取られ、体を強ばらせた。

 上品に近づいてくる姿に全身が硬直する。

 猫科の猛獣にでも睨まれているような感覚だ、ぴくりとでも動けば音もなく駆け寄って牙を突き立てられるのではないかという錯覚さえ覚える。

[!? 来るな!]

 我に返ってレイに銃口を突きつけた。

 敵の中に自分1人だけだという恐怖が男を支配している、突きつけた銃口は小刻みにカタカタと小さな音を立てていた。

[攻撃はしない。武器を降ろしてくれないか]

 両手を肩まで挙げて発する。

 しかし、男はベリルの言葉が耳に入らないのか顔を引きつらせたまま引鉄(ひきがね)にかけている指に力を込めていく。