何か怒鳴り合っているようだが中東の言語らしく、何を言っているのかまでは解らない。

 すると、先ほどの男が近づいてきて威圧的に発した。

「怪我の治療は出来るか」

「え、ああ……」

 返事を聞くとレイの拘束を解き、ライフルを突きつけてあごで行き先を示す。

 それに素直に従うと座り込んでいる男数人の所に促され、救急箱のようなものを手渡された。

 箱を受け取り、1人ひとり怪我の状態を確認していく。

「これは……」

 どれも見事な刺し傷だ。

 なんのためらいもなく振り下ろされたような肩口の傷は痛みこそあれ、大事な部分は傷つけていない。