もし、アザムを人質に取られたら解らない……私には彼のような力はない。

 ベリルなら、きっと全てを解決出来るのだろう。

 力のない己に頭(こうべ)を垂れた。

『全ての者にはその者にしか無い力があるのだよ』

 ふと彼の言葉を思い出す。

「……」

 私には私の力があるのだろうか。

 外見は私より若いが、その雰囲気は言葉の重みを充分に与えてくれるものだ。

 どんな生き方してきたのか、何を経験してきたのかは解らない。