目を閉じて気持ちを落ち着かせ、ホルスターの上から武器に手を添えてベリルを見やる。

 出会った時となに一つ変わらない彼に安心したと同時に、生き続けなければならない現実を目の当たりにした。

 自分がもし、そうだったらと思うとゾッとする。

 どうして変わらずにいられるのか、アザムには解らなかった。

 それは、誰にも解らないのかもしれない……到底、計り知ることの出来ない事象だからだ。

 誰1人として彼の口から悲観する言葉を聞いた事が無く、身を隠そうとした事もないと言う。

「ベリルだから……なんだろうね」

 口の中でつぶやいた。