ナイトメア・ホルスター

 正面から突入するベリルたちは、潜伏先だと思われる工場跡地のおよそ50mから入り口を窺う。

「予想通り、監視は1人のようだ」

 双眼鏡で確認している仲間がベリルに向かって発した。

「装備とヘッドセットの確認を」

 仲間たちが一斉に確認を始める。

 アザムとサムの2人も渡されたヘッドセットをぎこちなく耳に装着した。

 慣れていない2人が使いこなすことは出来ないがベリルたちの動向をそれで確認出来るため、ある程度の説明を受けたあと手渡されたものだ。

 装着したヘッドセットから早速、通信が入る。

<リデロだ。こちらは待機完了>

「警戒は怠るな」

 指示を出しながら準備するベリルの見た目はあまり変わっていない。

 元々、身につけている武器が多いためだ。