アザムの耳に車のエンジン音が届き、そちらに目を向けると黒いジープと鈍いゴールドのハマーがゆっくりと駐車場に入ってきていた。

 出てきたのは、いずれも体格の良い男たち──8人ほどのようだが、武装していることが窺えた。

「ベリル」

 1人の男が彼の名を呼び軽く手を挙げる。

 年の頃は30代後半と思われる男は、濃いグレーのカーゴパンツに藍色のTシャツとタクティカルベストを合わせた恰好をしている。

 硬めの栗毛と深い緑の瞳は、奥二重の向こうで小さくベリルたちを一瞥していく。

 同じくベリルもそれに手を揚げて応え、荷台の後ろに回り後部アオリを開いて荷台に地図を広げた。