「ベリルがさっき倒した人たち入れて?」

「動きは制限されるだろうが戦えない訳ではなかろう」

 そう言われればそうだけど……彼はいつもふざけているように見えて実の処、絶対に気を抜かない。

 そんな人だから、僕は彼に遊ばれていたように思う。

 大人を信じられなくて何もかもがどうでもよくなって……なのに、彼は態度を変えるコトなく僕にちょっかい出してきた。

 掴めない感情にこっちは翻弄されまくりだったのに。

「……なんだ」

 複雑な表情を浮かべてこちらを見ているアザムに眉をひそめる。

「なんでもない」

 言ったら余計にからかわれそうで、プイと視線を外した。