数時間──車がおもむろに止まった場所は、低いビルが転々とする地域だ。

 すでに廃墟となっている一角のようで、人の気配は感じられない。

「ここが潜伏先?」

「200mほど先の工場跡がそうだ」

 ここで仲間と落ち合う事になっているとベリルは語った。

「レイを拉致するという目的のため、相手の人数はそう多くないと推測している」

 ピックアップトラックの荷台に背を預けて応える。

「相手を傷つけずに遂行したいものだが……集められた人数がわずかでね」

「何人?」

「私を含めて9人。現在、余裕があったのはそれだけだ」

「敵は何人くらいだと見てるの?」

「およそ8人ほどと思われる」