ナイトメア・ホルスター

 僕の両親が死んだのは確かに戦争でだ。

 でも、殺したのはアメリカ兵じゃない……もしアメリカ兵が殺していたとして、僕はアメリカを憎んだのだろうか?

 それは解らない。憎むコトも憎まないコトも、それは当人の意識なんだ。

 中にいた僕にだって、あの戦いがなんだったのか解らない。

 本当に解っている人なんて……いたんだろうか。

 解らないコトだらけの世界だけど、解らないコトだらけだからこそ僕は知りたい。

 ベリルがぼそりと言ったコトがある。

『人は智の奴隷だ』

 知りたくて知りたくて仕方がない生物、その知識に溺れ振り回される。

 常に客観的に見つめる事は困難だ。

 主義・主観が異なるからこそ、相手に対する礼儀はわきまえなければならないのだろう。