そうか、だからベリルは普段テロリストとは言わないんだ……アザムは納得したように目を細めた。

 呼称が必要な時はそう呼ぶんだろうけど、彼自身からその言葉を聞いた事が無い。

「世の中って難しいね……」

「! ……そうだな」

 ちらりと視線を向けて応えたベリルに小さく笑みを返す。

 アメリカが戦うのは主に市場を守るためだ。

 きっと、テロリストと呼ばれる人たちとはどこか食い違いや思い違いもあるのだと思う。

 曲げられない信念や相容れない想いもあるのだろう。

 僕たちには到底、計り知れない感情が渦巻いていて少し言われたくらいで終わらせられるようなものじゃないコトくらい知ってる。

 それでも……こんなコトは止めて欲しいと思わずにはいられない。