「君はどうして彼に会いたいの?」

「決まってるじゃん! ヒーローだよ!」

「ヒーロー?」

「そうだよ。悪い奴らをやっつけていくんだ!」

 彼の戦う姿が、この子の目にはそう見えたんだろうか。

 どんな画像を見たのかは解らないけれど……アザムは少し瞳に愁いを含ませた。

「お父さんかお母さんには、ここに来るコトは言ってあるのかい?」

 息巻いていた少年がとたんに動きを止める。

「そんなんじゃあヒーローに怒られるね」

「う、うるさいなぁ! ヒーローはそんな小さなことじゃ怒らないんだよ!」

「とにかく、黙って出てきたならベリルには会わせられないよ」

 言われてぐうの音も出ない。

 しぶしぶポケットから携帯を取り出してどこかにかけ始めた。