ナイトメア・ホルスター

「防弾ベストとかじゃないの?」

「私と同行するならあれでは動けんよ」

 しれっと応えられ少年はぽかんとした。

「ある程度の強度を保つためには重量と厚さが必要だ。それで私の動きについて来られるというなら構わんがね」

 これからの状況を想定した限り、安易な防弾具ではただ動きを鈍くさせるだけだと判断しての物言いだろう。

 しばらくして玄関の呼び鈴が鳴り、ベリルが向かう。

「すまんね」

「いいえ」

 そこにいたグレーのスーツの男から紙バッグを受け取ってドアを閉め、リビングに戻りそれぞれに手渡す。