「むやみに教えられない。解るだろ?」

「!」

 アザムの言葉にムッとして拳を握りしめる。

「なんでだよ! ベリルに会わせろ!」

 わあわあと騒ぎだし、慌てて肩を掴んだ。

「ちょっとちょっと……わかったから、こんなところで大声出さない」

 どこで誰が聞いているか解らない。

 彼の名前をむやみに発信するような事は避けたくて少年を家に招き入れた。

 自宅はもうすぐそこだ、玄関の鍵を開けダイニングテーブルに紙袋を置いて2階にある自分の部屋に通す。

 サムは、一般的なベッドとデスクに本棚が並ぶ部屋を見回した。

「つまんない部屋」

 ぼそりと言った言葉に苦笑いを浮かべる。