「大事ないか」

「うん」

 発して歩み寄ると、少年の足下にもう1人の少年が怖々とこちらを窺っていた。

「その子は」

「! ああ……ベリルに会いたいって来た子なんだけど……」

 アザムが前に出るように促しても、少年はベリルを見上げて出ようとしない。

「緊張してるみたい」

「良い」

 苦笑いで応えたアザムに、彼はさして関心もなく返した。

「でも、どうしてここに?」

 話題を変えるように問いかけると、ベリルの瞳が少し曇る。

 あまり良い言葉は返ってきそうにない。