1人の男が舌打ちして懐(ふところ)に手を突っ込んだ。

「……っ」

 青年はすかさずその男に音もなく近寄り、懐に入れた手を掴む。

「!?」

 驚いて引きはがそうと大きく振ると、その手には拳銃(ハンドガン)が握られていた。

「くっ……」

 男はそれでも無理矢理、青年に銃口を向けようと力を込めるが、いとも簡単に腕が動いて戸惑うその耳に地面から響くガシャン……という金属音。

「?」

 持っているハンドガンが妙に軽い。

 怪訝に思った男の視界に捉えた黒いものは、手に持っている銃の弾倉(マガジン)だ。